メモ 2025/02/26 Wed 鈴成褪火と寂しい期待謎の白黒頭のスーツ侍、鈴成褪火さん。本編に出てないのにこぼれ話がめちゃくちゃあるという状態になってましたが、最近ようやく後輩のシノブちゃんと共に本編に参戦しましたね。そんなアセビ殿のお話を今回はしていこうと思います。続きを読むアセビさんは、普段はマイペースでのんびりとタバコばかり吸いながらも、仕事や交渉はきっちりこなす、なんかちょっとかっこいい雰囲気を醸し出しています。その一方で、誰に対してもあまり自分の内面に踏み込ませないよう、壁を作っています。これは人嫌いだとか、距離感を保っているというよりは、彼の雁字搦めになったトラウマが起因になっています。弱味を見せないというより、見せたくないのです。少し、彼の過去を深掘りしてみましょう。・幼少期〜少年期アセビさんは、元ホストの父親と、彼と駆け落ちした母親のもとで育ちました。両親は、彼が言葉を覚える頃にはすでに関係がかなり悪化しており、怒鳴り声が響き、皿が割れるような喧嘩は珍しくありませんでした。母親はDVによるストレスの発散の矛先を、幼かったアセビへ向けました。ことあるごとに邪魔者扱いされ、さまざまなひどい言葉をかけられたようですが、中でも彼の心を抉ったのは、「あんたなんて生まれてこなきゃよかった」の一言でした。これ以降、アセビさんの人生には常に、自分は生まれてくるべきじゃなかった、生きていて良い人間じゃないという感情、要するに希死念慮が付き纏い続けるようになりました。やがて母親が家を出て行くと、父親の暴力はアセビ1人に注がれるようになります。パチンコで勝った時などは機嫌良く、息子を回転寿司などに連れて行ったりすることもあったようですが、そうでない時は酒浸りでアセビさんを殴りつけたり、怒鳴りつけたりが常でした。抵抗などできるわけもなく、彼の自尊心はぼろぼろになっていくばかりでした。ですが、13歳の冬、父親に殺されかけたとき、身を守ろうとして反射的に父親を手にかけてしまいます。さまざまな状況証拠から、正当防衛が認められ、少年院行きは免れましたが、当然ながら、曲がりなりにも父親だった人間を手にかけた事実は、彼の心に深く傷を残しました。・少年期〜青年期、アヤとの再会アセビさんはその後、児童養護施設に引き取られました。特に素行が悪いだとか、大きな問題を起こすようなことはありませんでしたが、施設の職員には、何となく腫れ物に触るような扱いをされ、学校では何故か自分が父親を殺めたという噂が広まって奇異の目を向けられたりと、あまり心が休まる場所はなかったようです。いつ頃からか、「後腐れのない自殺」について考え始め、18歳になって施設を出るまで、死を熱望しながら日々を虚ろに過ごしました。施設を出てからは、とりあえずバイトで生計を立てつつ、帰ってからは、誰にも迷惑をかけず死ぬ方法、その計画をあれでもない、これでもないとノートに綴るような、正直言ってかなり不健康な生活をしばらく送っていました。ある時、バイト先で割れた食器を見て、過去の経験がフラッシュバックし、パニックを起こしてしまいます。大事を取って早退させられた帰り道、もう他人の迷惑なんてどうでもいいから、今夜死んでしまおうとフラフラと歩いていると、ある女性と偶然再開します。同じ小学校の1個上の先輩、アヤは、家庭の事情であまり学校に来れていなかったアセビを、時折気にかけてくれていました。アセビは施設を出てから生まれ育った土地を出ていたので、この出会いは本当に偶然でした。流れで近くの喫茶店でお茶をすることになり、アセビさんは空元気で、何もかもうまくやれているように取り繕います。けれど、アヤに一言、「大丈夫?」と聞かれたとき、涙が止まらなくなり、堰が切れたように、今まであったこと、辛かったことをすべて吐き出してしまいました。アヤは黙って話を聞き、彼が話し終えると、辛かったね、話してくれてありがとう、と優しく微笑みました。・束の間の幸せ、転落ふたりはそれから時々会うようになり、やがて恋人になりました。交際期間はあまり長くはなかったものの、アセビさんの人生の中で、唯一純粋に幸せだった時間のようです。仲睦まじく過ごしていたふたりですが、ある日、アヤが痴漢に遭ったとき、アセビさんは怒りのあまり、相手を捕まえて殴ろうとしてしまいました。その時、アヤが相手ではなく、自分に対して恐怖の目を向けているのに気がついた瞬間、安定していた心がまた揺らぎはじめてしまいます。俺が怖いのか。また、大好きな人に愛してもらえないのか。そもそも、自分は何か理由があれば躊躇なく人に手をあげられる人間なのか。それじゃまるで父親と一緒で。じゃあいつか、俺もアヤを殴りつけるようになるんだろうか。さまざまな感情が押し寄せてきて、うまく心の整理がつけられなくなりました。混乱したまま、一方的にアヤに別れを切り出しました。幸せな時間は、こうしてあっという間に終わりを迎えました。・色々あって、今。そしてこれからその後、自殺未遂からの入院を経て、DSS特別業務部の元部長、百合根に見出され、DSSに加入します。百合根によるカウンセリングや、弟切をはじめとした人との関わり、えんらとの出会いによって、どん底の状態からどうにか回復し、頑張り続けて今に至ります。けれど、積み重なったトラウマは払拭し切れておらず、毎晩悪夢に苛まれ、自分が幸せになることはとうの昔に諦めてしまっています。自分は生きていてはいけない存在で、人から愛されることなんてできない。もし愛を向けてくれる人が居たとしても、いつかは自分の元から離れていってしまう。そう思い込んでいます。自分の生きる理由を、「人の役に立つこと」として、警備員として人を守ったり助けたりしながら、人の役に立っているから生きていていいんだ、と自分を納得させ、どうにか騙し騙し生きています。えんらやシノブ、そのほかの部下から向けられる愛情や信頼を心地よく思いながらも、それらはいつかは終わるか反転してしまうものだと思っています。誰からも愛されなくても、一瞬でも自分の存在を認めてもらえたなら、それでいいのだそうです。今彼を生かしているのは、元部長から任された部長という仕事や、部下への責任感と、えんらを見守っていたいという気持ちの二つです。それでも、時折希死感情が抑えられず苦しむこともあるほか、いつでも人生を終わらせられるよう準備をしているようです。毎朝、今日も目が覚めたことを呪っている彼が、自分を少しでも許して、ふたたび人に頼れる日は来るのでしょうか。……最近は時折、ほんの少しだけ呼吸が楽になる瞬間もあるようです。というわけで、またかなり長くなってしまいましたが、アセビさんの過去とメンタル事情の開陳でした。本編で多少は触れるものの、ガッツリ詳しく触れることはなさそうなので、この機会に書いてみました。ずっと寒い冬を過ごしているアセビ殿ですが、いつか春が訪れるといいですね。馬酔木は春の花ですし。 favorite いいね ありがとうございます!
謎の白黒頭のスーツ侍、鈴成褪火さん。
本編に出てないのにこぼれ話がめちゃくちゃあるという状態になってましたが、最近ようやく後輩のシノブちゃんと共に本編に参戦しましたね。
そんなアセビ殿のお話を今回はしていこうと思います。
アセビさんは、普段はマイペースでのんびりとタバコばかり吸いながらも、仕事や交渉はきっちりこなす、なんかちょっとかっこいい雰囲気を醸し出しています。
その一方で、誰に対してもあまり自分の内面に踏み込ませないよう、壁を作っています。
これは人嫌いだとか、距離感を保っているというよりは、彼の雁字搦めになったトラウマが起因になっています。
弱味を見せないというより、見せたくないのです。
少し、彼の過去を深掘りしてみましょう。
・幼少期〜少年期
アセビさんは、元ホストの父親と、彼と駆け落ちした母親のもとで育ちました。
両親は、彼が言葉を覚える頃にはすでに関係がかなり悪化しており、怒鳴り声が響き、皿が割れるような喧嘩は珍しくありませんでした。
母親はDVによるストレスの発散の矛先を、幼かったアセビへ向けました。
ことあるごとに邪魔者扱いされ、さまざまなひどい言葉をかけられたようですが、中でも彼の心を抉ったのは、「あんたなんて生まれてこなきゃよかった」の一言でした。
これ以降、アセビさんの人生には常に、自分は生まれてくるべきじゃなかった、生きていて良い人間じゃないという感情、要するに希死念慮が付き纏い続けるようになりました。
やがて母親が家を出て行くと、父親の暴力はアセビ1人に注がれるようになります。
パチンコで勝った時などは機嫌良く、息子を回転寿司などに連れて行ったりすることもあったようですが、そうでない時は酒浸りでアセビさんを殴りつけたり、怒鳴りつけたりが常でした。
抵抗などできるわけもなく、彼の自尊心はぼろぼろになっていくばかりでした。
ですが、13歳の冬、父親に殺されかけたとき、身を守ろうとして反射的に父親を手にかけてしまいます。
さまざまな状況証拠から、正当防衛が認められ、少年院行きは免れましたが、当然ながら、曲がりなりにも父親だった人間を手にかけた事実は、彼の心に深く傷を残しました。
・少年期〜青年期、アヤとの再会
アセビさんはその後、児童養護施設に引き取られました。
特に素行が悪いだとか、大きな問題を起こすようなことはありませんでしたが、
施設の職員には、何となく腫れ物に触るような扱いをされ、学校では何故か自分が父親を殺めたという噂が広まって奇異の目を向けられたりと、あまり心が休まる場所はなかったようです。
いつ頃からか、「後腐れのない自殺」について考え始め、18歳になって施設を出るまで、死を熱望しながら日々を虚ろに過ごしました。
施設を出てからは、とりあえずバイトで生計を立てつつ、帰ってからは、誰にも迷惑をかけず死ぬ方法、その計画をあれでもない、これでもないとノートに綴るような、正直言ってかなり不健康な生活をしばらく送っていました。
ある時、バイト先で割れた食器を見て、過去の経験がフラッシュバックし、パニックを起こしてしまいます。
大事を取って早退させられた帰り道、もう他人の迷惑なんてどうでもいいから、今夜死んでしまおうとフラフラと歩いていると、ある女性と偶然再開します。
同じ小学校の1個上の先輩、アヤは、家庭の事情であまり学校に来れていなかったアセビを、時折気にかけてくれていました。
アセビは施設を出てから生まれ育った土地を出ていたので、この出会いは本当に偶然でした。
流れで近くの喫茶店でお茶をすることになり、アセビさんは空元気で、何もかもうまくやれているように取り繕います。
けれど、アヤに一言、「大丈夫?」と聞かれたとき、涙が止まらなくなり、堰が切れたように、今まであったこと、辛かったことをすべて吐き出してしまいました。
アヤは黙って話を聞き、彼が話し終えると、辛かったね、話してくれてありがとう、と優しく微笑みました。
・束の間の幸せ、転落
ふたりはそれから時々会うようになり、やがて恋人になりました。
交際期間はあまり長くはなかったものの、アセビさんの人生の中で、唯一純粋に幸せだった時間のようです。
仲睦まじく過ごしていたふたりですが、
ある日、アヤが痴漢に遭ったとき、アセビさんは怒りのあまり、相手を捕まえて殴ろうとしてしまいました。
その時、アヤが相手ではなく、自分に対して恐怖の目を向けているのに気がついた瞬間、安定していた心がまた揺らぎはじめてしまいます。
俺が怖いのか。また、大好きな人に愛してもらえないのか。
そもそも、自分は何か理由があれば躊躇なく人に手をあげられる人間なのか。それじゃまるで父親と一緒で。じゃあいつか、俺もアヤを殴りつけるようになるんだろうか。
さまざまな感情が押し寄せてきて、うまく心の整理がつけられなくなりました。
混乱したまま、一方的にアヤに別れを切り出しました。
幸せな時間は、こうしてあっという間に終わりを迎えました。
・色々あって、今。そしてこれから
その後、自殺未遂からの入院を経て、
DSS特別業務部の元部長、百合根に見出され、DSSに加入します。
百合根によるカウンセリングや、弟切をはじめとした人との関わり、えんらとの出会いによって、どん底の状態からどうにか回復し、頑張り続けて今に至ります。
けれど、積み重なったトラウマは払拭し切れておらず、毎晩悪夢に苛まれ、自分が幸せになることはとうの昔に諦めてしまっています。
自分は生きていてはいけない存在で、人から愛されることなんてできない。
もし愛を向けてくれる人が居たとしても、いつかは自分の元から離れていってしまう。
そう思い込んでいます。
自分の生きる理由を、「人の役に立つこと」として、警備員として人を守ったり助けたりしながら、人の役に立っているから生きていていいんだ、と自分を納得させ、どうにか騙し騙し生きています。
えんらやシノブ、そのほかの部下から向けられる愛情や信頼を心地よく思いながらも、それらはいつかは終わるか反転してしまうものだと思っています。
誰からも愛されなくても、一瞬でも自分の存在を認めてもらえたなら、それでいいのだそうです。
今彼を生かしているのは、元部長から任された部長という仕事や、部下への責任感と、えんらを見守っていたいという気持ちの二つです。
それでも、時折希死感情が抑えられず苦しむこともあるほか、いつでも人生を終わらせられるよう準備をしているようです。
毎朝、今日も目が覚めたことを呪っている彼が、自分を少しでも許して、ふたたび人に頼れる日は来るのでしょうか。
……最近は時折、ほんの少しだけ呼吸が楽になる瞬間もあるようです。
というわけで、またかなり長くなってしまいましたが、アセビさんの過去とメンタル事情の開陳でした。
本編で多少は触れるものの、ガッツリ詳しく触れることはなさそうなので、この機会に書いてみました。
ずっと寒い冬を過ごしているアセビ殿ですが、いつか春が訪れるといいですね。
馬酔木は春の花ですし。